コンバージョン API は、ピクセルと同じイベントをサーバーからも送る仕組み
コンバージョン API(Conversions API。CAPI とも呼ばれます)は、広告主のサーバーや CRM から、ウェブサイトやオフラインのイベントを Meta に直接送る仕組みです。ブラウザから送るピクセルを補う役目です。
Meta のヘルプでは、コンバージョン API とピクセルを併用し、同じイベントを両方から送る冗長設定を推奨しています。ピクセルが取りこぼしたイベントを、コンバージョン API で補えるためです。
どれだけ補えているかの目安として、Meta はピクセルのイベントに対するコンバージョン API のイベントのカバー率を75%にすることを目指すよう案内しています。
設定のやり方は4つ。サイトの作りと、手を動かせる人で選ぶ
やり方ごとに、用意するものと、手を動かす人が違います。先に表で全体を見てから、判断の分かれ目を説明します。
<コンバージョン API の4つのやり方>

やり方 | どんな方法か | 前提になるもの |
|---|---|---|
パートナー連携 | 使っている EC・CMS の基盤の設定画面でオンにする | 基盤が Meta と連携していること |
コンバージョン API ゲートウェイ | 自社のクラウドに Meta の仕組みを立て、ピクセルのイベントを流す | AWS か GCP のアカウントと DNS の設定 |
タグマネージャーのサーバー側 | サーバー側のコンテナからイベントを送る | サーバー側のコンテナを動かす環境 |
直接実装 | 自社のサーバーから API を呼ぶ | アクセストークンと開発 |
基盤の連携があれば、その設定画面でオンにできる
EC サイトの基盤や CMS(サイトの管理の仕組み)が Meta と連携していれば、その設定画面でオンにして始められます。使っている基盤のヘルプに「コンバージョン API」の項目があるかを、まず確かめます。
どこまで送るか、ID をどうそろえるかは基盤ごとに違います。基盤の連携とは別に、自前で入れたピクセルのコードが残っていないかも確かめます。
開発者がいなければ、ゲートウェイを候補にする
ゲートウェイは「コード不要」と紹介されることが多いものの、前提があります。
Meta の開発者向けドキュメントによると、ゲートウェイは、広告主が持つクラウドのアカウント(AWS か GCP)にサーバーを立てて使い、DNS に設定したエンドポイントが要ります。費用はクラウドかパートナーの料金です。
DNS はドメインの住所録にあたる設定で、ゲートウェイの住所を自社のドメインの下に登録します。クラウドのアカウントと DNS を触れるかは、情報システムの担当に先に確かめます。
ゲートウェイの利点は ID の扱いです。ゲートウェイは重複排除に使う event_id を自動で作り、ピクセルとコンバージョン API の両方に付けます。次の節の設定を自分でしなくて済みます。
送る項目を細かく決めたいときは、直接実装にする
自社のサーバーから API を直接呼ぶ方法は、送るイベントや項目を自社で決めて実装します。CRM(顧客の管理の仕組み)のイベントも、この方法なら自社の判断で送れます。
アクセストークンは、イベントマネージャのピクセルの設定タブにある「手動で設定」から作ります。このリンクは、ビジネスで開発者の権限を持つ人にしか表示されません。
ピクセルとの重複は、event_id とイベント名を48時間以内にそろえて防ぐ
同じ購入をピクセルとコンバージョン API の両方から送ると、何もしなければ2件に数えられます。CPA が実際より良く見え、予算の判断を誤る原因になります。
<ピクセルとコンバージョン API の重複排除の条件>

Meta の開発者向けドキュメントによると、重複として除かれるのは、ピクセルの eventID と API の event_id、ピクセルの event と API の event_name の両方が一致したときです。
対象は最初のイベントから48時間以内に届いたもので、内容に差が無ければ先に届いたほうが残る傾向があります。
具体例
購入完了のイベントをそろえる
注文番号 12345 の購入で、ピクセルとコンバージョン API の両方から Purchase を送るとします。
両方の event_id を order_12345 のように注文番号から作ると、同じ値になります
イベント名も Purchase で一致し、48時間以内に届けば、1件に数えられます
ピクセルとサーバーで別々に乱数の ID を作ると一致せず、2件のままです
※ 説明のための例です(数字や設定は例示)
ID は注文番号や問い合わせの受付番号のように、両方から同じ値を作れるものが扱いやすくなります。サーバーから送り直すときも、同じ ID を使います。
照合の精度は、送る顧客情報とハッシュ化の仕方で決まる
コンバージョン API のイベントは、一緒に送る顧客情報で Meta のアカウントと照合されます。その精度を示すのがイベントマッチ品質です。
Meta の開発者向けドキュメントによると、イベントマッチ品質は、サーバーのイベントの顧客情報が Meta のアカウントとの照合にどれだけ役立ちそうかを10点満点で示す指標です。
イベントマネージャでイベントごとに表示され、いまはウェブのイベントだけで出ます。
送る顧客情報には、ハッシュ化する値と、してはいけない値があります。
値 | 扱い |
|---|---|
メール(em)・電話番号(ph)・姓名(fn・ln)・郵便番号など | SHA256(元に戻せない値に変える方式)でハッシュ化して送る |
IP アドレス(client_ip_address)・ユーザーエージェント(client_user_agent) | ハッシュ化しない |
fbc・fbp(Cookie の値) | ハッシュ化しない |
external_id(会員番号など) | ハッシュ化を推奨 |
表の出典は Meta の開発者向けドキュメントです。メールや電話番号はハッシュ化して送り、IP アドレス・ユーザーエージェント・fbc・fbp はハッシュ化しません。
ウェブのイベントでは client_user_agent が必須で、external_id と event_id はすべてのイベントに含めることが推奨されています。
ハッシュ化の前に、メールと電話番号の書き方をそろえる
同じ人でも、書き方が違えばハッシュの値が変わり、照合できません。メールは前後の空白を除いて小文字にし、電話番号は記号と先頭の0を除いて国番号を付けてから、ハッシュ化します。
<ハッシュ化の前に電話番号の書き方をそろえる>

具体例
日本の携帯電話の番号をそろえる
フォームに 090-1234-5678 と入力された番号を送るとします。
記号を除くと 09012345678 になります
先頭の0を除き、日本の国番号 81 を付けると 819012345678 になります
この値をハッシュ化して送ります。全員が日本の番号でも、国番号は付けます
※ 説明のための例です(数字や設定は例示)
送ったら、イベントのテストで確かめてから test_event_code を外す
設定が終わったら、本番の前にテストのイベントを送って確かめます。テストのイベントの扱いは、Meta の開発者向けドキュメントに書かれています。
- 1
送るイベントと、event_id の作り方を決める
Purchase・Lead など、ピクセルで送っているイベントと同じ名前にします。ID は注文番号などから作ります。
- 2
やり方を選び、ピクセルと同じピクセル ID で設定する
前の節の表で選んだやり方で設定します。
- 3
イベントのテストのコードを付けて送る
イベントマネージャの「イベントのテスト」で出るコードを test_event_code として付けて送り、届いたかを見ます。
- 4
本番の送信からコードを外し、重複とイベントマッチ品質を見る
本番のイベントがたまってから、イベントマネージャで重複が除かれているか、イベントマッチ品質が出ているかを確かめます。
まとめて送る実装では、失敗の条件も知っておきます。
同じドキュメントによると、1回で送れるのは1,000件までで、1件でも不正なイベントがあると全件が弾かれます。event_time が7日より古いイベントが入ると、リクエスト全体がエラーになります。
開発者に頼むときは、送るイベントと ID のそろえ方を文例で渡す
「コンバージョン API を入れてください」だけで頼むと、ID のそろえ方やハッシュ化の扱いが実装する人の判断になります。決めておくべきことを、文例で渡します。
文例:メール
〔ご担当者名〕様 いつもお世話になっております。〔会社名〕の〔氏名〕です。 Meta のコンバージョン API の実装をお願いしたく、ご連絡しました。次の内容でお見積もりをいただけますでしょうか。 ・送るイベント:〔Purchase・Lead など〕(ピクセルと同じ名前) ・ピクセル ID:〔ピクセル ID〕 ・event_id:〔注文番号など〕から作り、ピクセルとサーバーで同じ値にする ・顧客情報:メール・電話番号は書き方をそろえてから、Meta の指定どおりハッシュ化。IP アドレス・ユーザーエージェント・fbp・fbc はハッシュ化しない ・確認:イベントのテストのコードで確かめた後、本番ではコードを外す ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。 よろしくお願いいたします。
チェックリスト
実装が戻ってきたら確かめること
コンバージョン API は、ピクセルと同じイベントを同じ ID で送れば重複しない
やり方はサイトの作りと手を動かせる人で選び、基盤の連携があるかを最初に確かめる
ピクセルと API で event_id とイベント名をそろえ、48時間以内に届くようにする
顧客情報は決まった値だけハッシュ化し、テストのコードは確かめたら外す
<この記事のまとめ(コンバージョン API の設定)>

よくある質問
Qコンバージョン API を入れたら、ピクセルは外してよいですか?
外しません。Meta は、両方から同じイベントを送る冗長設定を推奨しています。
Q重複が除かれたとき、どちらのイベントが残りますか?
内容に大きな差が無ければ、先に届いたイベントが残る傾向があります。
Qコンバージョン API ゲートウェイは無料ですか?
ゲートウェイそのものではなく、立てるクラウドかパートナーの料金がかかります。
Qイベントマッチ品質はどこで見られますか?
イベントマネージャで、ウェブのイベントごとに10点満点で表示されます。


