自己解決率は、セルフサービスで解決した件数の割合
自己解決率は、セルフサービスで解決した件数を、問い合わせの総数で割って求めます。
具体例
計算の例
自己解決率は、問い合わせ前(FAQ・サイト内検索など)と問い合わせ時(チャットボット・ボイスボットなど)の両方で設計するものなので、両方の解決を数えます。
ある月の問い合わせが 1,000件
そのうち FAQ・チャットボット・ボイスボットで解決し、有人窓口に来なかったのが 300件
自己解決率は 300 ÷ 1,000 = 30%
※ 説明のための例です(数字や設定は例示)
呼量削減の打ち手のうち、どの方向の成果かも押さえておきます。有人対応を減らす打ち手は、問い合わせの発生そのものを減らす方向と、自己解決率を上げる方向の2つに分かれます。自己解決率が表すのは、後者の成果です。
自動応答・自己解決・業務完結は、別のもの
自己解決率が上がっても有人対応が減らないとき、多くは「解決」の中身がずれています。AI が応答しただけでは有人対応は減らず、手続きと記録まで終わってはじめて人の対応が要らなくなります。
<自動応答・自己解決・業務完結の違い>

段階 | 状態の例 | 有人対応 |
|---|---|---|
自動応答 | 「返品方法はこちらのページです」と AI が答えた | 減らない |
自己解決 | 「方法は分かった。あとは自分でやる」 | 一部は問い合わせに戻る |
業務完結 | 「返品の受付が完了し、集荷日も決まった」 | 要らなくなる |
業務完結とは、照会・変更などの手続きと、その記録までが1回の対応で終わった状態のことです。自己解決率を有人対応の削減につなげたいなら、どの段階まで終えた件を数えているかを確かめます。
上がらないときは、到達・回答・完結に分けて詰まりどころを探す
自己解決率が上がらないとき、全体の数字だけを見ても打ち手は決まりません。自己解決率はおおむね「到達 × 回答 × 完結」で決まり、1つでも低いと上がりません。
<自己解決率を3つに分ける>

到達:顧客が自己解決の手段にたどり着けるか
回答:問いに対して正しい答えを返せるか
完結:手続き・記録まで終わり、再問い合わせが起きないか
掛け算なので、どこか1つが低いと全体が下がります。たとえば到達と回答がどれだけ高くても、手続きが人手に残れば有人対応は減りません。
加えて、解決できなかった問い合わせからナレッジを直し続ける改善も要ります。それぞれでつまずく場所は4つの壁(たどり着けない・答えられない・手続きまで終わらない・ナレッジが育たない)として、「チャットボットで問い合わせが減らないのはなぜ?」の記事で詳しく紹介しています。
調査で見る自己解決の現状
自己解決の水準は、調査によって数え方が違うため、そのまま比べられません。ただ、ここで挙げる3つの調査は、いずれも「AI やセルフサービスだけで解決し切るのはまだ一部」であることを示しています。
<調査で見る自己解決の現状>

Gartner の調査(2023年12月・顧客5,728名)では、セルフサービスだけで完全に解決した問題は14%でした
Ada と NewtonX の調査(2025年12月〜2026年2月)では、人を介さずに問題が解決したと答えた消費者は24%(約4人に1人)でした
株式会社リンクの調査(2024年10月・全国の20〜60代500名)では、無人音声の対応で解決しなかったとき、次に有人窓口へ電話する人が7割を超えました
無人音声で解決しなかった顧客の7割超は、次に有人窓口へ電話しています。自己解決率の数字は、有人窓口の件数とあわせて見て、はじめて意味を持ちます。
似た言葉との違い
自己解決率と近い意味で使われる言葉があります。報告の場で混ざりやすいので、違いを押さえておきます。
言葉 | 意味 | 自己解決率との違い |
|---|---|---|
デフレクション率 | 有人窓口に来るはずだった問い合わせを、セルフサービスへそらした割合 | そらした件数を数え、解決したかは問わないことがある |
有人移行率 | AI の対応から人へ引き継いだ割合 | AI が対応した件の中での割合。有人窓口に直接来た件は含まない |
業務完結率 | AI の対応で手続きまで終わった割合 | 解決の中でも、手続きと記録まで終えた件だけを数える |
AI の対応を測る指標の選び方は、「ボイスボットの導入」の記事で紹介しています。
よくある質問
Q自己解決率の計算式は何ですか。
セルフサービスで解決した件数を、問い合わせの総数で割ります。問い合わせ前と問い合わせ時の両方の自己解決を数えます。
Q自己解決率が上がっているのに、有人対応が減らないのはなぜですか。
AI が応答しただけでは有人対応は減らず、疑問が解消しても一部は問い合わせに戻ります。手続きと記録まで終わってはじめて人の対応が要らなくなります。
Q自己解決率を上げる目的は、人員を減らすことですか。
人を減らすためではなく、人が判断・相談・共感・例外対応といった人にしかできない接客へ集中するためです。
Q自己解決率を上げるには、どこから手をつければよいですか。
到達・回答・完結の3つに分け、どれが低いかを確かめます。1つでも低いと自己解決率は上がりません。




