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チャットボットで問い合わせが減らないのはなぜ? 4つの壁と、FAQ・IVR・ボイスボットの振り分け

サービス AX
チャットボットで問い合わせが減らないのはなぜ? 4つの壁と、FAQ・IVR・ボイスボットの振り分け

チャットボットやボイスボットを入れたのに、電話やフォームの問い合わせが思ったほど減らない。導入した企業の多くが、どこかでこの壁に当たります。

原因は、自己解決を阻む4つの壁のどこかで、解決が途切れていることです。1か所だけを自動化しても、ほかの壁で止まれば有人対応は残ります。

前半では4つの壁の見分け方を、後半では入口の壁に備える振り分けを扱います。問い合わせごとに FAQ・チャットボット・ビジュアルIVR・ボイスボット・有人のどこで解決するかを決め、導線を置く場所までを順に紹介します。

この記事の要点

  • 壁は、たどり着けない・答えられない・手続きまで終わらない・ナレッジが育たないの4つです

  • 解決の場所は、問い合わせの複雑さ・緊急度・感情やリスクの重さの3つで振り分けます

  • 自己解決の導線は FAQ ページではなく、疑問が生まれる瞬間のその画面に置きます

導入した企業から聞く3つの声は、止まっている場所がそれぞれ違う

チャットボット・ボイスボットを入れた企業からよく聞く声は、ほぼ次の3つにまとまります。

  • 「チャットボットを入れたが、結局フォームや電話に流れる」

  • 「ボイスボットが用件を聞き取れず、人につながる」

  • 「回答はできても、手続きは人がやっている」

同じ「減らない」でも、1つ目は入口、2つ目は答える段階、3つ目は手続きの段階で止まっています。原因が違えば、打ち手も違います。

止まった問い合わせは、消えずに有人窓口へ戻ります。株式会社リンクの調査(2024年10月・全国の20〜60代500名)では、IVR・ボイスボットなどの無人音声で解決しなかったとき、次に有人窓口へ電話する人が7割を超えました。

詰まりどころは、4つの壁のどれか

解決が途切れる場所は、4つの壁に分けられます。

<自己解決を阻む4つの壁>

自己解決を阻む壁は、手段に顧客が届かないたどり着けない、答えを持っていないか参照先が合っていない答えられない、照会や変更が人手に残る手続きまで終わらない、未解決のログが放置されるナレッジが育たない、の4つであることを示すカード
図:自己解決を阻む4つの壁

壁

起きていること

打ち手の方向

① たどり着けない

自己解決の手段があっても顧客が届かず、解決できる用件まで電話・フォームに流れる

解決の場所と導線(この記事の後半)

② 答えられない

答えを持っていないか、参照先や手段が合っていない

参照範囲と解決手段(「生成AIのカスタマーサポート活用」の記事)

③ 手続きまで終わらない

回答はできても、照会・変更・記録が人手に残り、再問い合わせが起きる

業務完結(「ボイスボットの導入」の記事)

④ ナレッジが育たない

未解決のログが放置され、解決できる範囲が広がらない

改善の回し方(「ナレッジ管理の運用」の記事)

3つの声を当てはめると、「回答はできても手続きは人がやっている」は③にあたります。有人窓口に来た問い合わせを用件ごとに数え、どの壁で止まったかを分けると、手をつける順番が見えます。

呼量削減の打ち手は、2つの方向に分かれる

ここからは、壁①(たどり着けない)への備えです。その前に、呼量削減の全体像を押さえます。呼量とは、有人の窓口が受ける問い合わせの件数のことです。

<有人対応を減らす2つの方向>

有人対応を減らす打ち手は、商品・サービスの改善やトラブルの削減で問い合わせの発生そのものを減らす方向と、FAQ・ナレッジの拡充やボット・IVR による自動化で自己解決率を上げる方向の2つに分かれることを示すカード
図:有人対応を減らす2つの方向

有人対応を減らす打ち手は、問い合わせの発生そのものを減らす方向(商品・サービスの改善・トラブルの削減)と、自己解決率を上げる方向(問い合わせ前の FAQ・ナレッジの拡充、問い合わせ時のボットや IVR による自動化)の2つに分かれます。

4つの壁は、どれも自己解決を上げる側の打ち手です。同じ不具合への問い合わせが続くなら、ナレッジを足すより、商品や業務を直す方に回します。

自己解決を上げる側は、さらに2つの場面に分かれます。

自己解決率は「問い合わせ前」(FAQ・サイト内検索・フォーム前のサジェスト・通知やマイページ)と「問い合わせ時」(チャットボット・ビジュアルIVR・音声案内中の SMS・ボイスボット)の両方で設計します。

この後の振り分けと導線は、この2つの場面に沿っています。

解決の場所は5つ。複雑さ・緊急度・リスクで振り分ける

自己解決の手段は、それぞれ得意な問い合わせが違います。問い合わせごとに、最短で解決できる場所を決めます。

<5つの解決の場所>

解決の場所は、確定情報を検索で即時に自己解決する FAQ、対話で用件を絞り込むチャットボット、電話の前に画面で用件を選ぶビジュアルIVR、電話のまま手続きまで進めるボイスボット、判断と共感が要る対応に集中する有人対応の5つであることを示すカード
図:5つの解決の場所

解決の場所

向く問い合わせ

FAQ

営業時間・料金などの確定情報

チャットボット

返品方法などの一般的な手続き

ビジュアルIVR

窓口が分からない、電話の前の整理

ボイスボット

契約・予約・配送の変更

有人対応

クレーム・例外・高度な相談

ビジュアルIVR とは、電話をかける前に、画面で用件を選んでもらう仕組みです。選んだ用件に合う FAQ や Web の手続きを先に見せ、必要な人だけを電話へ案内します。

振り分けの前提になるのが、AI と人の役割の分け方です。

担い手

受け持つこと

AI

定型の問い合わせへの回答、照会・予約・変更などの手続き、24時間365日の一次対応と記録

人

判断や裁量が要る対応、相談・提案・共感が要る接客、例外対応とクレームの解決

自己解決率を上げるのは人を減らすためではなく、人が人にしかできない接客へ集中するためです。有人対応を「解決の場所」の1つとして残すのは、このためです。

どこに振り分けるかは、3つの観点で決めます。複雑さ(単純・定型か、複雑・例外的か)、緊急度(今すぐ解決する必要があるか)、感情やリスクの重さ(判断の重要度が高いか)です。

<振り分けの3つの観点>

解決方式は複雑さ・緊急度・感情やリスクの重さで決め、営業時間の問い合わせは3つとも低いので FAQ、明日の配送時間の変更は緊急度が高いのでボイスボット、届いた商品の破損は3つとも高いので有人対応に振り分けることを示す表
図:振り分けの3つの観点

具体例

3つの問い合わせを振り分ける

「営業時間は?」は3つとも低いので FAQ、「明日の配送時間を変えたい」は緊急度が高いのでボイスボット、「届いた商品が破損していた」は3つとも高いので有人対応に振り分けます。

※ 説明のための例です(数字や設定は例示)

自己解決の導線は、疑問が生まれる画面に置く

解決の場所を決めても、顧客がそこへ届かなければ壁①は残ります。導線は FAQ ページではなく、顧客の疑問が生まれる瞬間の、その画面に置きます。

<疑問が生まれる画面に置く導線>

自己解決の導線は FAQ ページではなく疑問が生まれる画面に置き、配送待ちなら注文詳細に配送状況と日時変更のボタンと関連 FAQ、利用開始なら設定画面に手順のガイドと動画と画面内の検索、契約更新なら通知に条件の要点と FAQ と手続きページへのリンクを置くことを示す表
図:疑問が生まれる画面に置く導線

置き場所は、顧客の行動をたどって決めます。顧客がどの段階にいて、どこで疑問が生まれ、何を知りたいかをたどり、その画面に答えと次の行動を用意します。

たとえば配送待ちで「いつ届く?」と思う顧客には、注文詳細に配送状況・日時変更のボタン・関連 FAQ を置きます。顧客はその場で、答えと手続きの両方にたどり着けます。

有人窓口へ向かった人にも、つながる前に解決の道を示す

問い合わせると決めた顧客にも、まだ自己解決の余地があります。有人窓口につながる前に解決できる道を示し、解決しなかったときだけ用件を引き継いで人へつなぎます。

  1. 1

    フォームの前に関連 FAQ を出す

    問い合わせフォームを開いた顧客には、入力内容から関連 FAQ を先に提示します

  2. 2

    電話番号のページにビジュアルIVR を置く

    電話番号のページを開いた顧客には、電話の前に画面で用件を選んでもらい、FAQ・Web 手続きへ案内します

  3. 3

    電話の音声案内中に SMS を送る

    電話をかけた顧客には、音声案内の間に SMS で Web 手続きや FAQ のリンクを送ります

  4. 4

    チャットはチャットボットが用件を整理する

    チャットを開いた顧客には、チャットボットが用件を整理し、回答・手続きへ案内します

チェックリスト

壁と振り分けの確認

<この記事のまとめ(問い合わせが減らない理由と振り分け)>

有人対応が減らない原因は4つの壁のどこかにあり、入口の壁には問い合わせごとに5つの解決の場所から複雑さ・緊急度・リスクで振り分け、疑問が生まれる画面と有人窓口の手前に解決の道を置くことをまとめたスライド
図:この記事のまとめ(問い合わせが減らない理由と振り分け)

よくある質問

Qチャットボットを入れ替えれば、問い合わせは減りますか。

A

壁は4つあり、1か所だけを自動化しても有人対応は減りにくいため、まずどの壁で止まっているかを確かめます。

QボイスボットとビジュアルIVR は、どう使い分けますか。

A

ビジュアルIVR は窓口が分からないときの電話の前の整理に、ボイスボットは契約・予約・配送の変更のような手続きに向きます。

Q電話の件数を減らしたいのですが、まず何をすればよいですか。

A

電話番号のページにビジュアルIVR を置き、電話の前に画面で用件を選んでもらって、FAQ・Web 手続きへ案内します。解決しなかった人だけを人へつなぎます。

中澤 真生(株式会社ギブリー サービスAX事業部 セールスマネージャー)

監修

中澤 真生Mao Nakazawa株式会社ギブリー セールスマネージャー

  • コンタクトセンター
  • カスタマーサポート
  • AI活用コンサルティング

株式会社ギブリーのセールスマネージャー。コンタクトセンター・カスタマーサポート領域で、AIソリューションの提案とAI活用コンサルティングを手がける。2020年にギブリーに参画し、Web接客・LINE・CRM・MAツールの導入支援、営業企画・営業推進を担当。前職はマーケティングツールベンダーで、セールス・カスタマーサクセスとして新規サービスの立ち上げに従事。